病院・診療所
病院・診療所において悩ましいカスハラ問題
昨今社会問題化しているものとして、カスタマーハラスメントという問題があります。 ハラスメントには、パワハラやセクハラなど様々な問題がありますが、厚生労働省のサイトによれば、企業調査でハラスメントについての相談件数の傾向として、パワハラ、セクハラの次にカスタマーハラスメントの相談が多かったという結果があるようです。このようなカスタマーハラスメントの発生は、医療の現場でも例外ではなく、長時間にわたって患者や家族が居座る、大声を出して怒鳴るなどのペイシェントハラスメントが問題となっています。
応招義務の存在
他方で医師には、医師法により応招義務が定められています。 応招義務とは、診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない、とされているものです。この応招義務は、例えば以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されないなどといった例示がされてきました。
応招義務に関する新たな展開
しかし、医療を取り巻く状況の変化等から、患者の迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな診療を行わないことが正当化される、医療費の不払いについても、支払能力があるにもかかわらず悪意をもってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される、などといった事例が厚生労働省より提示されています(医政発1225第4号)。ただ、実際にどのような事案が上記のような提示に該当するのかという点については、一概に判断することはできず、かなり難しいものといえます。他方で、医療機関としては、かかるペイシェントハラスメントへの対策を放置してしまえば、職員に多大なる負荷がかかるだけでなく、場合によっては職員から安全配慮義務違反を問われ、医療機関が損害賠償責任を負担せざるを得なくなる可能性もあります。
カスハラ以外にも問題が
このように、医療機関に対しては、一般的な労働問題に加えて、勤務医の過重労働の問題への対応などといったその他の問題もありますので、速やかに弁護士と連携できる状態を整えておくべきといえます。

